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松浦真也のL/Dで、映像のアーカイブ化は今後のひとつの在りかたと


 1960前後、世界に冠たる科学映画が制作される。最盛期には年間千篇を越える映画が制作され、教育、研究現場で盛んに活用される。しかし、これの貴重な映画も見せる機会も少なくなり、秘蔵化の一途をたどる。さらにメデイアシステムの変化が起こり、益々、一般の方は貴重な映像遺産を観る機会もなく、忘れ去られている現状となる。これなの映画を活用しないのは、本当にもったいない。

松浦真也氏は,ブログL/D(2008.06.11)[2つの映像アーカイブ]の中で、インターネットの出現により情報のあり方について以下のことが可能になったと。

 「①同時性。あらゆる情報が瞬時に拡がり、共有されるようになった。
②通時性。ネットに貯蔵された情報はすべて等価であり、どんなに古い情報も、埋もれてしまうというこはな く、瞬時に引き出すことができる。」

映像の今後の活用に、一つの方向性を示される。そして、通時性に関する、非常に素晴らしいサイトとして(1)朝日新聞ニュウス昭和映像ブログと(2)科学映像館を紹介。

 科学映像館については。

 「こちらは昭和20年代以降多数作られた科学映画の映像をネットで公開している。制作大手の岩波映画の映像が収録されていないのが残念なのだけれども(何か権利関係の理由があるのだろう)、僕らの先輩が科学というものをどのように映像化してきたかを、一望することができる。
 こちらは、スタッフロールがしっかりしているので、思わぬ作曲家がとんでもないところで映画音楽を付けているのを見つけるという楽しみもある。」と紹介している。

  さらに松浦氏は以下のことを協調されている。

 「こういう過去の情報を、誰でも閲覧できる形でののアーカイブ化は、社会の基礎的な情報インフラストラクチャとして、とても大事だ。NHKが今、過去の番組を次々にデジタル化しているが、これも適切な形式でネットに広く公開されるべきだろう。」

 松浦氏のこの意見は、私達が科学映像館を設立した基本的な考えである。先人が制作した貴重な映画を世に公開し、共有化することは、映画関係者の責務ではないかと思う。ウェブ上の配信でも版権を守る方策はあり、制作関係者の利害を阻害するものではない。また制作者の映画制作にかけた気持ちも侵害するものでもない。多くの方に観てもらって初めてその映画の価値が。

  2年間の配信結果から、秘蔵化しだれも知らなかった貴重な古い映画が、初めて知られ、多くの方が鑑賞・活用、高く評価されている作品も決して少なくない。時代の流れをくみ取り、多くの方にまず貴重な映画を観てもら得る方策を考えていただきたい。貴重な映画はひとりのものではなく、共有の映像遺産であると。
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  1960年初頭制作された「生命誕生」。国内外の科学映画祭で幾多のグランプリを受賞した名作。
by rijityoo | 2009-06-09 08:19 | Comments(0)