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一柳慧氏の音楽と短編映画集


  小林米作氏らは生命科学映画の多数の秀作を制作している。東京シネマ時代、代表岡田桑三氏、脚本家吉見泰氏らと、特殊な顕微鏡撮影で未知の世界に挑み、感動あふれる素晴らしい映像を生み出している。さらに彼らは映像の総合芸術化を図り、音楽も新進気鋭の現代作曲家に委嘱。その中で、最も多くの作品を提供したのが、一柳慧氏である。

  最近、東京シネマ作品で一柳慧氏音楽の6作品が東京シネマ新社によりDVD化され、「作品一柳慧 短編映画集」として発売されている。この発売に寄せられた序文に一柳氏は、小林作品と音楽について以下の様に述べている。


 「小林氏の映像はそれ自体自立した作品として、時代の先端を映し出す思想に貫かれていた。特に当時としては初めての試みともいえる顕微鏡の特殊撮影による、ミクロの世界の徹底した考察に基づく撮影は圧巻である。私はその映像づくりのひたむきで真摯な姿勢に感動し、音楽の面で何とかそれに応えたいと思ってのぞんだことが、今まざまざと思い出される。
   
  私にできることは、映像の内容に拮抗する音の世界を創ることであり、その点でこれら映像の中では、音楽も先端的手法を使っている。いろいろな楽器の特殊奏法、たとえばピアノなら内部奏法や、プリペアード・ピアノや、打楽器的扱いからピアノの音を電子的に変調したものなどを使っているが、それらは映像から触発された結果だったと言ってよいだろう。 」

  東京シネマ代表の岡田桑三、脚本家吉見泰氏らに支えられた小林さんの科学映画制作に掛けるひたむきな姿勢が、映画関係者、学会関係者らを動かし、数々の秀作が。そして我々に多くの感動を。

一柳慧氏の全メッセジは科学映像館サイトのトップページから。
by rijityoo | 2009-06-12 06:43 | Comments(0)