久米さんの科学映像便り
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プロフィール
科学映像館理事長の久米さん。映像遺産を守り、生かすための日々!
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映画フィルムのデジタル化について
私達「NPO法人科学映像館」で配信している記録映画のフィルム素材の修復とデジタル復元は、高度な技術を要するため、私達は株式会社東京光音にその業務を委託してきた。本日デジタル化に関する一連の工程を東京光音所長松信集秀明氏に書いていただいた。参考していただければありがたい。なお一連の作業工程はこちらでご覧いただけます。
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映画フィルムのデジタル化について
   (株)東京光音 テレシネ/ビデオ/サウンド/デジタル修復・復元センター
                              所長 松信秀明

1、はじめに
映画フィルムからのデジタル化の作業方法及び作業工程を解説する前に、何故デジタル化を行う必要があるのかという部分に触れたい。

デジタル化の必要性については2つの理由が挙げられる。先ず1つ目はフィルムの再生機=映写機やテレシネ機が今後無くなっていくからで、双方とも生産は終了、メンテナンスも終了しているため、機材の新規購入及び修理も不可となっている。映写機に関しては機械的なパーツが多いため、代用パーツ等を使い、その場しのぎの延命は可能だが、テレシネの場合は電子パーツが多用されており、パーツ及び基盤の入手が困難なため重大な故障が起きると修理不可となる。どちらかと言えば簡易的にフィルムの映像を見るためのツールである映写機やテレシネ機が消えていく背景があるため、デジタル化(デジタルファイル化)が今後重要となってくる。
 
2つ目の理由は映画フィルムの劣化問題である。映画フィルムは遅かれ早かれ必ず劣化する。保管状態や環境により劣化速度は変わるが、確実に、しかも一度劣化が始まると加速度的に劣化していく。最終的には粉化、または固形化し、乳剤自体が溶解してしまうため、映像そのものを失うという結果となる。残念ながら映画フィルムの所有者や保管担当者が、フィルムの劣化に対する知識を持っていない例が多く、また費用面的な理由から劣化対策等はされておらず、言わば「放ってある」状態になっているのが現実である。映画フィルムは記録映像等、二度と同じものを作れないような貴重・希少なものが多く、そういった資料を失わないためにも劣化が進む前にデジタルファイル化を行っておくことは非常に重要だと言える。
 
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一方、映画フィルム再生の新しいツールとして多種のフィルムスキャナーが出回っている。スキャナーの価格帯はピンからキリまであるが、テレシネ時代に比べコンピューターの技術が進み、また半導体の価格も大幅に下がっているため比較的安価な投資で設備が出来る。そのためフィルムデジタルアーカイブ事業に参入しやすく、現に多くの業者が参入、参入しようとしている。ここで危惧されるのが、映画フィルムに対する知識、劣化に対する知識や正確な修復・補修の技術を持たずとも、安価なフィルムスキャナーを購入すればデジタル化の事業が出来てしまう事である。

弊社の理念は可能な限り良い画質、良い品質、良い状態で後世に残していくことであるが、「映像が残ればいいでしょ。映像が見られればいいでしょ」レベルで驚くような低価格でのサービスを展開している業者もあり、そういった業者と競合していかねばならない。

貴重な映像資料をより良い状態で残していくために、映画フィルムのデジタルアーカイブの本来の理由、目的をもう一度正確に考え直し把握する必要があると思われる。

2、映画フィルムからのデジタル化作業手順
①フィルムの状態確認
先ず、フィルムの概要調査を行う。この調査をインスペクションと言う。
専用のフィルムリワインダーを使用し、手動で巻き取りながらフィルムの種類、劣化度、製作年、内容、損傷の程度等を調べ記録する。この記録を基にその後の作業の方針が決まるため、インスペクションはたいへん重要な作業である。 尚、インスペクション時にフィルムの損傷箇所(パーフォレーションの破損欠落、裂け目等)は手作業にて補修する。また、過去に行われた補修跡が劣化していたり、正しく補修されていない場合はこれも再補修を行う。
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目に見える大きなごみや汚れが付着していた場合は、無水エタノールと毛羽立たない布を使い、手拭きクリーニングする。
※使用ツール
 専用フィルムリワインダー、スプリットリール、専用スプライサー、スプライシングテープ、和ばさみ、ルーペ、ライトボックス、ピンセット、ガーゼ、無水エタノール等。

②クリーニング
 劣化により脆化が始まっているものや強度を失っているもの、エマルジョン(乳剤)の剥離が始まっているフィルムはフィルムの保護上、クリーニングは行わない。
それ以外のフィルムはパッチテストを行い、クリーニングに対する安全性を確認後、自社開発のフィルムクリーニングマシンで洗浄をする。
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対象フィルムは8ミリから35ミリまでの各種フィルムのポジ・ネガ。フィルム上の汚れ、ゴミ、手油等の油性汚れ、カビ等の水溶性汚れを洗浄することができる。自社での検証の結果、クリーニングを行うことによって、細かいキズが修復される効果も確認できている。
 
古いフィルム、汚れの酷いフィルムはクリーニング後ステインベックにかけ、汚れの落ち具合を確認する。汚れが落ちきっていないものは再度クリーニングを行い、クリーニングの効果が確認できたものは念のためドライクリーニングマシンにかけ、フィルム表面に付着したゴミを除去する。
※使用機材
 自社開発フィルムクリーニングマシン(ウエット)、ドライクリーニングマシン、
ステインベック

③デジタル化(テレシネ
 SD~HDまでの解像度、且つビデオフォーマットへの変換はテレシネ機を使用して行う。データファイルの作成はビデオメディアよりデジタイズを行い、任意のファイルコーデックを作成する。
 フィルムをテレシネにかけ画郭、再生スピードの調整を行い、カラーコレクションマシン(システム)を使い、色の濃度・色調を補正する。この色調補正の作業をタイミングと言う。色調補正の範囲はフィルムに残っている色の成分を最大限引き出し、色のバランスを調整する。つまり作業者(カラリスト)が独自に新たな色を作り出すことはせず、アーカイブの観点から、劣化褐色を起こす前の状態に戻す目的で行われる。
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 フィルムを再生、タイミングデータを適用しテレシネより出力されたビデオ信号をテープメディアに収録する。その際、映像のノイズ(フィルム上のキズ、ゴミによるもの)をリアルタイムで消去処理するノイズリダクター、フィルム走行時に発生する揺れを補正するスタビライズ等の周辺機器を使用し、1パスで出来る限り高品質な映像を収録する。
※使用機器
 SDテレシネ Cintel URSA GOLD、HDテレシネ Cintel C-Reality+Oliver、
HDテレシネ Cintel MillenniumⅡ、
カラーコレクター da Vinci 2K、da Vinci 2K Plus
ノイズリダクター Digital Vision DVNR 2K 等

④デジタル化(フィルムスキャナー)
SD~4Kまでの解像度、且つデータファイルフォーマットへの変換はフィルムスキャナーを使用して行う。フィルムスキャナーより出力されるデータは、非圧縮から様々な圧縮コーデックの任意のデータファイルを作成できる。また、フィルムの色情報を最大限データ化したLogデータとある程度色補正をしたLinearデータの2種類のスキャンデータを出力可。Logデータはネガフィルム、Linearデータは退色したポジフィルムに対し有効である。

その他の主な特徴として、光学式ピンレジストレーション機能によりフィルム走行による揺れが発生しない事や、4K 30fps、2K 60fpsという高速スキャニングが挙げられる。最大の特徴として、スプロケットレスでフィルムに対し負荷をかけるパーツがないので、劣化変形したフィルムも安全に走行できる。
出力されたスキャニングデータに対し、カラーグレーディングシステムを使用し、
    色調、濃度補正を行う。
    ※使用機器
     4Kフィルムスキャナー Lasergraphics Scan Staion
グレーディングシステム Filmlight Baselight、da Vinci Resolve

⑤デジタルリストア(パラ消し)
フィルムクリーニングマシンで落としきれなかったゴミや汚れ、フィルムのキズをレストレーションソフトを使いデジタル修復を行う。その他フィルム破損跡、切断跡、揺れ止め、フリッカー処理等、映像上の問題も修復する。キズ・ゴミに対し先ず自動検出―自動処理を行う。この作業ではキズ・ゴミ以外に消してはいけない画も誤認識で消してしまう危険性があるため、注意確認しながら行う。誤消去してしまったものは手動作業で元の状態に戻すことができる。
次に自動処理で消しきれなかったキズ・ゴミやフィルムの損傷跡を手動操作にて消去する。同時にその他の映像上の問題も修復する。

このパラ消しの作業はデジタル化の作業工程の中で最も時間を要する。手動操作の作業は画1コマ1コマを確認しながら行わなければならず、根気と忍耐力、集中力が必要となる。SDからHD、4Kと解像度が上がり画質が鮮明になると、それに比例してキズ・ゴミも鮮明となり目立ってくるので、今後の高解像度時代においてパラ消し作業は必須の工程となる。
    ※使用機材
MTI FILMS Correct DRS、THE PIXEL FARM PFClean、Cine Cure

⑥データ変換
 前項パラ消し作業は非圧縮データファイルで作業をするため、納品形態に合わせたファイルフォーマットへの変換を行う。音声のある作品はこの時点で音声の合成を行い出力する。(音声データは事前に整音を行う。)
収録メディアは各種ビデオテープ、ディスクメディア、HDD、LTO等。
※使用機材
 Adobe Premiere Pro CC、Avid Media Composer、Apple Final Cut Pro、
Avid Pro Tools、ROHDE&SCHWALZ Pronto
     
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by rijityoo | 2016-09-11 21:28 | 活動報告 | Comments(0)