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古橋広之進さん、ローマで急死される。


昨夜、古橋広之進さんが、国際水泳大会が開催されているローマで急死されたのニュウースが。小生が新制中学のころ、泳ぐ度に世界新記録を樹立した様子をラヂオで聞いたもの。戦後の疲弊した日本社会に大きな力を。1950年代初頭のことである。ご冥福をお祈りし、ありがとうと。

 当時、科学映画の世界にも世界を驚かせる作品が。カメラマンの小林米作さんが、東京シネマ代表 岡田桑三氏、吉見泰氏らと制作した『ミクロの世界』でる。国際映画祭において軒並み最高賞を受賞する。このニュースは、1964年の新聞紙上でも大々的に報道され、当時ノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士や水泳の世界新記録を樹立した古橋広之進氏のニュースと同じように、報道されたのである。その後も、上記三氏は、『生命誕生』などの名作が次々と世に送り出したのである。

 小林米作さんは科学映画を総合芸術としてもとらえる。映像が資料的には充分であっても、色彩、構図など、映像表現の美しさに満足しなければ、何度ども、何度も撮り直す。フィルム時代であるから、大変な作業である。

  また、時代に先駆ける表現をもとめて、当時の新進作曲家、黛敏郎、武満徹、松村禎三、一柳慧、間宮芳生等の諸氏に作曲を委嘱し、映像と音楽の総合を図っているのです。小林作品へ多数のオリジナル曲を提供した一柳さんは、当時の様子についてメッセージを寄せられる。詳細は科学映像館サイトをご覧いただきたい。(http://www.kagakueizo.org/2009/03/post-256.html)

 その結果、『生命誕生』にパドヴァ大学科学教育映画大会(1963年)審査委員会は、「この映画は最高の技術と映画的表現の天才的駆使により奇跡的完璧さをもって生物学の本質的現象を描き出している。それはまた高い抒情性にまで達した興味津々たる記録であり、かつ、人類の手による科学研究の頂点においては、科学と芸術とがまったく一つのものとなるという事実を映画的に立証している。」と絶賛している。

 これを機会にもう一度、岡田桑三と小林さんらによる数々の科学映画の秀作を観ていただけれと願う。
by rijityoo | 2009-08-03 09:36 | Comments(0)