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数万本の作品がすでにオーファンに・・・

最近ある資料を作成するため、記録映画の保存と現状について調べる機会が。記録映画保存センター理事長村山英世氏によると(日本のドキュメンタリー第4巻、岩波書店)、2007年東京大学の吉見俊哉教授を中心に発足した「記録映画の保存と活用研究会」が企業、製作者などから聞き取り調査を行う。その結果、日本で製作され記録映画は13万作品と推定されている(表1)と言う。

さらに問題は製作者の高齢化と会社の閉鎖等でオーファン化している作品も数万件あるとも言われており、しかも記録映画が圧倒的に多い(表2)。これらの資料は2007年現在であり、それ以降、閉鎖した現像所、製作会社も少なくない。

この活動を初めて4年、作品の配信許諾の交渉過程で、いろいろなケースに直面する。東京シネマ新社のように、自社作品を最高の条件で保存と活用に努めている会社もあれば、企画会社に納めて終わりの製作会社もある。最近も配信の許諾を求めて、両者と交渉するも、無残な結果に終わる。

我々のような1NPO法人の活動ではなく、行政機関による対応策を強く希望する。記録映画も日本が世界に誇れる分化遺産である。


表1 保存すべき記録映画作品数
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保管先       作品数     推計根拠
製作会社    40,000    聞き取り調査
企画会社    10,000    上場会社1677社の聞き取り
自治体     20,000    同様の聞き取り
現像所     50,000    同様の聞き取り
個人の所有   10,000    推計
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合計     130,000
  

表2 各現像所のオーファン映画
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         本数    記録    劇   アニメ   CM
東映ラボ・テック 10,400    25%   5%   5%    65%
イマジカ      8,600 25%   55%  10%   10%
ソニーPCL    2,300 100%   
東京現像所 20,800 50%   20%   20%   10%
ヨコシネ     10,000 40%   20%   30%   10%
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計       52,100 
by rijityoo | 2011-02-11 09:57 | 活動の蔵(1、208) | Comments(0)