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満5年を終えて(その16)

その後、日映さんの「日本の城」、「日本の祭り」、「広重」などの作品を配信。次いで半年後に起きた大震災の原子力発電事故で貴重な資料となった「黎明」と「福島の原子力」を。この2作品が、こんな形で脚光をあびるとは、残念なこと。

日映作品には 中村麟子監督が手掛けた秀作が多い。「はえ」、「真空の世界」などの教育映画。

日本初の女性監督として一生を綴った中村麟子監督、戦前に生まれ日本の目覚ましい高度経済成長期を生きた監督は日本の科学、教育映画の発展に貢献した。女性が男性に混じり仕事をするという考えがまだあまり浸透していない時代に負けず嫌いの中村監督は、そんな考えをもろともせず生き抜いて行く。そんな教育映画の基礎を築いた女性監督である中村麟子監督の世界。


「はえ」は、中村監督と撮影クルーの努力の結晶とも言える作品である、自然の生き物相手にしかも当時の撮影環境ではこの監督の辛抱強さがなければこの作品は存在しなかったかもしれない。

当初この企画の話が出たとき中村監督は「ハエなんて嫌、無理」と嫌な気持ちを表したが、まだカメラが収めたことの無い世界に中村は渋々了承、その生体を解き明かす為に中村監督は自分でハエを飼い、ガラス箱に入れて持ち歩きバスや電車に乗るときも人に見つからないようにして観察し続けその生体を研究した。そして監督と撮影クルーの辛抱と努力の賜物でついに無理と言われていたハエの脱皮の撮影を成功させた作品である。

その中村監督も1昨年2月、92歳で他界される。第一世代の現役映画製作者は少なくある。「生命誕生」で生物試料を担当された浅香時夫氏くらいか。浅香氏は現在もヨネプロダウクシオンで後継者の指導にあたっておられるとのこと。
by rijityoo | 2012-04-17 08:38 | 活動の蔵(1、208) | Comments(0)