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満5周年を終えて(その17)

日映科学映画製作所の配信中の作品で、最後に取り上げたいのが、「よみがえる金色堂」である。ご承知のようにこの映画は、7年半にわたる国宝金色堂の解体修理記録である。この映画しかその記録は残っていない貴重な映像である。日映から届いたパンフレットには以下の様に記載されている。

【製作者の声】
国宝金色堂は数少ない12世紀の建築としてまた優れた工芸技術の作品として我が国文化財の至宝である。建立以来初めて解体修理が昭和37年から7年間にわたって行われた。この映画は、その修理の記録である。6ミーター足らずの小さい建物であるが、総工費1億5千万円余り(昭和37年)、わが国一流の学者専門家の総力を結集し、優れた技術者の努力と執念によって、困難な修理事業を完成させ、ついに850年前の、藤原三代の栄華の昔をよみがえらしたのである。こうして修理された金色堂は、そのまま後世に至るまで、格調高い平泉文化を伝えていくだろう。

【スタッフ】
製作:片田計一
脚本:中村麟子
演出:中村麟子
撮影:中山博司、石原保
照明:藤江良代
音楽:長澤勝俊
解説:平光淳之介

【受賞】
70'教育映画祭最高賞/優秀映画鑑賞会特別推薦/文部省選定/東京都教育映画コンクール金賞

その後の情報によると、中尊寺も最初は製作に乗り気だなかったようである。いわば中村麟子氏の情熱と執念から、この映画は生まれたと聞く。製作途中で管主になれた今東光氏のバックアップも大きかったと聞く。

我々が最初配信した「よみがえる金色堂」16mmプリントからのデジタル化版、出だしの解説文すら鮮明でない。ネガフィルムからの高画質ネガテレシネによる復元をと、地元平泉町、中尊寺等を初め多くの行政機関等に働きかけたが、残念ながら、いい回答は得れず、1年が過ぎる。

しかし、この復元は、実に意外な展開を見せ始める。前にも紹介した昭和町 風土伝承館 中野館長のご尽力により、山梨県内の篤志家のご支援により、デジタル復元が現実となる。おりしも中尊寺は世界文化遺産に登録され、少しでも貢献できたのではと思っている。

現在、山梨県には「科学映像館を支える会in山梨」が正式に発足し、ご支援いただいている。本当にありがたい。心から感謝の意を表したい。
by rijityoo | 2012-04-17 12:12 | 活動の蔵(1、208) | Comments(0)