2012年 05月 25日
私の推薦作品「68の車輪」
日立製作所国分工場で製作された重量280トン、容量30万kVAの大型変圧器を、納入先の東京電力東東京変電所(現新野田変電所)まで輸送する現場を描いたドキュメンタリー。これまで変圧器は分解して輸送されていたが、「300トン・シュナーベル式トレーラ」の登場で分解を要さず一貫輸送できるようになった。本作ではこの全5日間、17km半の行程を、丁寧なナレーションとともに鮮やかなカラー映像で描く。
蒸気機関車が牽引する大物貨車「シキ700」から、柏駅でトレーラにリレーされ変圧器が運ばれる。途中にはわずか20分の通過時間しかない踏切、橋、スイッチバックしないと曲がれない十字路、そして地盤が軟弱なため鉄板や杭で補強せねばならない道など数々の難所が待つ。多くの関係者に支えられて大切な変圧器を運ぶトレーラ。田畑に囲まれた道をゆっくり歩むその姿は「嫁入り行列」がよみがえったかのようでもある。ぜひご覧いただきたい作品。(N.Akatsuka)