2012年 05月 25日
この一作、「人類の名のもとに」
「日本住血吸虫症」は、甲府盆地に患者が集中し、山梨では地方病と呼ばれてきた寄生虫病です。平成8年の「流行終息宣言」に至る115年に及ぶ闘いは、県民あげての終息活動の成果ですが、終息推進に大きな役割を果たしたGHQの存在はあまり知られていません。
日本進駐前にフィリピンへ進駐したアメリカ軍は、隊員も罹患したこの病気の治療法を山梨県昭和町の杉浦三郎博士から学ぶと共にこの病を人類の名のもとに協働で撲滅を図ろうと、研究費など多大な資金提供を惜しまなかったそうです。
科学映像館では、この地方病関係の映像5作品を配信中ですが、「人類の名のもとに」は、GHQ406医学総合研究所と山梨県の共同制作による地方病終息をテーマにした映画です。杉浦三郎氏も医師役で出演し、杉浦医院での患者診察映像や当時の有病地帯の風景などと共にアメリカ民謡を共に歌う、日米民間交流の「明るさ」も描かれています。
この映像は、県にも保存がなく「幻の映画」になっていましたが、科学映像館久米川理事長のご尽力で、製作会社の倉庫に1本だけ眠っていたフィルムをデジタル化したもので、科学映像館と昭和町風土伝承館杉浦醫院でのみ鑑賞出来る貴重な映像です。(Y.Nakano)