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久米さんの科学映像便り

カテプシンK物語~破骨細胞の採取(その1)~

使用動物も決まり、次の課題はその骨から如何にして純度の高い細胞を採取するか、となりました。私としては珍しく、2か月間、骨の構造、破骨細胞の性格をなどをあらゆる角度から学び、採取方法をじっくりと検討しました。

その後にまずトライしたのは至って常識的な方法です。破骨細胞は他の細胞に比べて大きいという性質を利用してメッシュで濾過してみました。しかし破骨細胞はアメーバのごとくメッシュを潜り抜けてしまい。効果は全くありませんでした。

次いで破骨細胞の比重差を利用して採取できないかとトライしましたが、これも駄目でした。その次に試みたのは、ヒトの巨細胞腫から分離した破骨細胞に特異的な単抗体を鉄のビーズにまぶし、これを骨の細胞群と培養した後、磁石を用いて鉄のビーズを集めて分離するという方法です。

この破骨細胞の採取方法についてはオランダ・ライデン大学のPeter J. Nijiweid博士が私の教室に短期間来室する予定がありましたので、彼にも採取方法の検討を依頼しておいたのですが、彼も私たちと同様の考えを持って来日しました。
カテプシンK物語~破骨細胞の採取(その1)~_b0115553_21421475.jpg

Peter J. Nijiweid博士夫妻とチュウリップ畠で。

結論を言えば、残念ながらこれも失敗に終わりました。確かに鉄のビーズは破骨細胞に付着していました。この細胞を染色後、顕微鏡で観察したとき、一瞬夢かと思い目を疑いました。しかしです、破骨細胞は多数の細胞を背負っており、しかも採取できる細胞は極めて少ない。1万個どころか、千個にも満たない細胞でした。これも可能性は少ないと判断しました。細胞の採取を初めて5カ月を過ぎており、完全に手詰まりの状況に追い込まれてしまいました。

しかし、ここでPeter J. Nijiweid博士が行ったことが、予期せぬ破骨細胞分離に繋がったのでした。

この件は次号で紹介したいと思います。
by rijityoo | 2012-07-22 16:49 | カテプシンK物語(23) | Comments(0)

今なぜ、科学映像館か? その舞台裏を語ります。