2012年 07月 23日
カテプシンK物語~破骨細胞の採取(その2)~

Peter J. Nijiweid博士(中央)と小玉博士を訪ねました。
その結果、破骨細胞だけがプラスチックシャーレに残っているではありませんか。ここに破骨細胞分離の大きな、大きなヒントがありました。
「他の細胞を除去すればよいのでは」との私の考えに博士は納得せず、その晩私たちは激論を戦わせることとなりました。
博士は残ったシャーレを同様に処理して染色してみました。純度の高い破骨細胞群が顕微鏡下に現れ、これまで苦労してきた全員が本当にびっくりしました。ここで彼もようやく納得したわけですが、破骨細胞の接着性が強いという性格をもっと理解していれば、ごく当たり前の結果であったと言えるでしょう。
その後、破骨細胞の大量採取に向けて予備実験が始まりました。使用動物の年齢、骨の細胞浮遊液の調整、シャーレに付着した破骨細胞の採取等々です。
使用動物は生後7日前後のウサギに決まりました。軟組織を取り除いた四肢をハサミで細かく切断し、振動をかけて細胞群を得たのち、骨片を除いて得た細胞液を培養することにしました。
他の細胞を除去するためのことを考え、シャーレの中央部に浮遊液を植え込み、破骨細胞が十分に付着(30分)した後に培養液を追加し、一晩培養しました。水溶液で洗えば、簡単に破骨細胞以外の細胞を取り除くことができますが、どうすれば簡単かつ正確に取り除けるかを突き止めることも大きなカギとなりました。

純度100%の近い破骨細胞
ここで目をつけたのが「家庭用の霧吹き」でした。シャーレに霧吹きで水溶液を吹きかける様子はおよそ研究室の仕事とは思えませんが、その結果は見事なものでした。