2012年 08月 11日
カテプシンK物語~その生物活性は~
チバガイギーは上記のことを解決するために、まず、抗体の作製に着手しました。ニワトリであれば種がかなり離れるので、うまく抗体ができるのではないか・・・そう考え、早速外注で作製してもらうことにしました。予想通り、ニワトリを使うことにより、非常に特異性が高く、かつ抗体価も優れた抗カテプシンK-IgY抗体を得ました。(抗体の作製)
そこで我々はこの抗体を使って、OC-2酵素の生物活性明らかにしようと、まずその局在性を免疫組織学的な手法を用いて調べることにしました。この研究は骨の組織学的な分野の第一人者である、新潟大学歯学部小澤英浩名誉教授にお願いしました。その結果、OC-酵素は破骨細胞のみに特異的に存在し、しかも骨に面した骨破壊に関係している部位(波状縁)に局在していることを明らかにすることができました。
次いで我々はOC-2酵素が骨の吸収に関わっているのかどうかを、骨吸収アッセイ法を用いて調べました。吸収窩は抗体によって小さくなるのではと、予測していました。ところが、抗体を作用させても吸収窩の面積には、全く差がないという予想外の結果となりました。
そこで我々は、吸収窩を走査型電子顕微鏡で調べてみることにしました。その結果、OC-2酵素の抗体を作用させると、吸収窩の面積は同じですが、窩洞は浅く、しかも吸収窩底には未分解のコラーゲン繊維が残っていることを突き止めました。OC-2酵素は骨の基質の分解に関わっていることが明らかになったのです。
以上の2つの実験結果から、OC-2酵素は破骨細胞によって産生され、骨の基質の分解に関わっていることが強く示唆されたのです。