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久米さんの科学映像便り

カテプシンK物語~おわりに

この物語を終えるにあたり、ひとつの苦しい思い出を付け加えたいと思います。1985年であったでしょうか、リヨンの研究所からヒトの骨芽細胞株が譲渡され、私たちはそれを持ち帰りました。担当者が細胞数を増やすために培養を行っていた時に、大きな事故が起こりました。

ヒトの細胞中に大変きれいな細胞の塊(コロニー)ができていたのです。私たちは、このコロニーを一個、一個吊り上げ、培養して新しい細胞株を樹立(?)して、様々な実験に用いていました。ところが、この細胞株はマウスの細胞(MC3T3-E1)が混じり込んだものであったことが、染色体の検査からわかったのです。

このとんでもない事故は、すでに米国骨代謝学会を始め国内外の学会で発表した後に明らかになったものでした。一時は研究生活をやめようかと思ったことさえありました。しかし自分だけの問題でもありません。本当に学内外の多くの方に迷惑をお掛けしました。そこで、翌年度の学会ですべてを明らかにしました。本当に長い、苦痛の一年でした。そして再出発を決意し、骨吸収の仕事を始めたのです。

その再出発の決意と多くの方のご協力が、カテプシンKの発見として実を結びました。

この仕事には故George G. Rose氏(Roseチャンバーの製作者)と故小林米作氏(科学映画の父、骨の科学映画3作品の製作者)を始め、国内外、学内外から多くの方が参加してくださいました。今風に言えば、「チームカテプシンK」であります。ご参加、ご協力いただいた方々に心からお礼申し上げます。また無理難題を持ちかけ、ご迷惑をかけたことをお詫びします。

しかし物語中では、公平性を期するために個人名を極力省いてきました。そこで最後に、この仕事で中心的な役割を果たしていただいた方、そして支えてくれた方々の名前を挙げ、物語の幕を下ろしたいと思います。

本当にありがとうございました。

カテプシンKの単離とその一連の研究に直接かかわった方々(順不同・敬称略、当時の所属)

家兎OC-2の単離
手塚建一(明海大学歯学部口腔解剖学)

ヒトOC-2相同遺伝子の単離などに関する一連の仕事
小久保利雄、稲岡哲也、石橋 宰、十亀弘子、乾 隆、
山村堯樹(日本チバガイギー株式会社)
羽毛田慈之(明海大学歯学部口腔解剖学)
森 芳久(東京大学医学部)
川島博行(山之内製薬株式会社)

破骨細胞の収集
Peter J. Nijiweide (Leiden University)
佐藤卓也(明海大学歯学口腔解剖学)
栗原徳善(明海大学歯学部)
日浦賢治、上岡 寛(徳島大学歯学部)

またこの仕事では国内外の多くの方々にお世話になりました。

国外の方々
Michael A. Horton (St. Bartholomew’s Hospital, London)
Linda F. Bonewald (Texas University)
Soo-siang Lim (Indiana University)

国内の大学関係者
須田年生、三浦恭信(自治医科大学)
実重慎吾、飯田惣授、湯浅隆壽、奥田憲之、蕨 信太郎、託摩 敦(埼玉医科大学)
塩川美穂、中川真理、小澤英浩(新潟大学歯学部)
金子博徳、林 俊吉、野島嵩樹(慶應義塾大学医学部)
金 強中(東京女子医科大学)
開 祐二(大阪大学歯学部)
小玉博明(奥羽大学歯学部)
竹家達夫(京都大学)
氏名不明(大阪大学大学院医学研究科)

明海大学歯学部
近藤真由理、堀田孝彦、中谷善範、真野樹子、田中かよ、宮沢浩史、中丸行也

明海大学口腔解剖学
真野 博、荒川俊哉、池田映子

国内の企業における共同研究者
太田光栄、鹿子島雅子、手納直規、合田圭吾 (日本チバガイギー株式会社)
米谷元彦、丹羽学、Claudia Betschart、中島元夫(ノバルティスファーマ株式会社)
小笠原愛智(エーザイ株式会社)
小堀正人(山之内製薬株式会社)
寛道信二(塩野義製薬株式会社)
前島明子(大正製薬株式会社)
高田幸弘(雪印乳業株式会社)
松尾 哲(マルホ株式会社)
金田利夫(ヘキストAG)


またこの仕事はLarry Frye(英論文校正)、石井幸子、斉藤 ジュフィン
(秘書)、細田さと子、吉田雅子、片桐曜子(実験補助)氏などによって支えられました。

この間、家庭のことは家内にすべて任せ、何一つ心配することなく仕事に打ち込むことができました。最後にいつも近くから暖かく見守り、支えてくれた家内と子供たちに感謝します。
              
                                      平成24年9月1日
                                         久米川正好

カテプシンKは久米川正好(明海大学名誉教授、WEBサイトNPO法人科学映像館管理者)が手塚建一(岐阜大学医学部准教授)氏、石橋 宰(大阪府立大学准教授)氏らと、出合った多くの方とともに楽しみ、励み、苦しみ、感動したたことを思い、ありがとうの気持ちでまとめました。
by rijityoo | 2012-09-01 23:31 | カテプシンK物語(23) | Comments(0)

今なぜ、科学映像館か? その舞台裏を語ります。