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科学映像館物語 9~より多くの人に知ってもらうために~

科学映像館物語、第9回は科学映像館の活動と、配信映画をより多くの方に知っていただくための様々な広報活動についてお話を伺います。先生、どうぞ宜しくお願いします。

4月1日に科学映像館を設立し、5月1日に映像配信を開始したことは前回までにお話しましたが、価値ある科学映画をデジタル化して配信するという役割を担うこの科学映像館も、その存在を一人でも多くの人に知ってもらい、そして実際に科学映画を観てもらわなければ意味がありません。そこで私は科学映像館を知ってもらう「広報」に対する取り組みにも大きな力を注いできました。

具体的にどのような取り組みをされているか教えていただけますか。

科学映像館ウェブサイトの情報整理とともに始めたのはブログです。現在は久米さんの科学映像便りと題したブログでほぼ毎日、科学映像館の活動をはじめ様々な記事を掲載しています。ブログは科学映像館ウェブサイトのトップページにもリンクがあり、そちらを辿ってアクセスする人が全体の4割ほどでしょうか。5年ほど前にブログを開始して以来、更新回数は3,300回以上になっています。

その内容は?

科学映像館ウェブサイトも定期的に情報更新していますが、ある程度フォーマルな情報に限定されるため埋もれてしまう情報も沢山あります。私のブログでは、新着情報、配信映画の案内、配信予定の作品、再生回数などのほか、協力してくださる方との出会いや交流、作品を観た人から寄せられた感想など、ウェブサイトでは取り上げられなかった情報を「落ち穂拾い」のようなかたちで取り上げています。

勿論私のブログだけでなく、他の多くのブログでも科学映像館の活動や配信作品を取り上げてもらっています。私が把握しているだけでも200~300を超えるブログで紹介してもらっているようです。とりわけSightsongには配信映画や周辺情報を含め、これまで20回以上にわたって大変仔細に紹介してもらっており、科学映像館の知名度向上に大きく貢献してもらっています。

ほかにもTwitterやFacebookなどのSNSも活用しています。Twitterでは、アカウントを2個(ひとつは科学映像館、もうひとつは193456) 取得し、ブログとは違った情報も発信しています。それ以外にもBCCで送信するメールで多くの人に告知を行うなど、SNSやメールも駆使して情報発信しています。

Twitterで、多くの方がNPO法人科学映像館を取り上げたくれており、が20数万回つぶやかれています。また各作品も100回以上つぶやかれた作品もあります。特に「福島の原子力」は個のつぶやきから脚光をあびましたね。

TwitterやFacebookもやられているは驚きました。

一方でやはり新聞や雑誌、TVなどのマスメディアで紹介してもらう効果は非常に大きなものがあります。新聞を活用した情報発信では、受身になるのではなくこちらから主体的に情報発信しており、これまでに全国紙では朝日新聞科学欄をはじめとしてAsahi.com. ウオルトストリート電子版、読売新聞、日本経済新聞など、地方紙では信濃毎日新聞、沖縄タイムス、徳島新聞など、合わせて30回以上にわたって取り上げてもらっています。また例えば長野県に所縁のある作品は信濃毎日新聞で取り上げてもらったり、沖縄に関連のある作品は沖縄タイムスで取り上げてもらうなど、その地域に関連した作品の情報を提供しています。

科学映像館を設立した当初は、新聞などのマスメディアで取り上げてもらうたびにアクセスが一挙に5倍、10倍と増えていましたが、最近はおかげさまで既にある程度知名度も上がり常に多くのアクセスがあるため、メディアなどで紹介されても以前ほど急激なアクセス増とはならなくなりました。

TVに関しては、テレビ局や制作会社から科学映画の映像使用許可依頼が頻繁に寄せられます。こちらについては私たちに許可の権限はなく映画の版権を所有している企業に紹介していますが、放映する際は映像中に「科学映像館」のクレジットを付すようにお願いしており、これを通じて科学映像館を知ってもらうための取り組みを行っています。

昨年には東日本大震災が発生し、福島の原子力発電所も大きな被害を受けました。その際にもテレビ局から原子力関連で多くの映像使用依頼がありましたが、黎明―福島原子力発電所建設記録 調査編ー福島の原子力については日映科学映画製作所の英断で、無償で映像を提供していただきました。原子力発電所の事故は不幸な出来事でもあり、東電企画でプロパンガンダ映画でもあることから、一時配信をやめようかとも思いました。しかし負の遺産も貴重であるとの多くの方の後押しがあり、配信続けています。

ウェブやSNSベースだけでなく、紙媒体でも情報発信を行っています。これまでに20種類ほどパンフレットを制作しており、自治体、教育機関などに配布して施設ロビーなどに置いてもらっています。また、日本国内だけでなく外国メディアも科学映像館の活動に注目しています。これまでにアメリカ、イギリス(BBC放送)、フランス、ドイツから取材や問い合わせがありました。

大きなものでは興業収入数十億円にも上る商業映画に比べれば、記録映画、科学映画は確かに地味なものです。だからといって広く伝える価値がないということでは決してない。様々な手段を駆使して科学映像館の活動や、配信映画を広く積極的に伝えていく必要があります。科学映像館の知名度が高まり作品を一人でも多くの方に観てもらえれば、それを観た人たちが様々なかたちで刺激をうけ、また新たな科学や芸術の営みに反映されていくという良い循環が生まれるものと確信しています。

科学映像館を設立されてからも、マスメディアやSNSなど様々な媒体を駆使して活動や作品の存在を広く伝える取り組みをされていること、そして実際に大きなアクセス増に繋がっていることがよく理解できました。先生、今回も貴重なお話を聞かせていただき有難うございました。
by rijityoo | 2012-10-11 18:54 | 科学映像館物語(18) | Comments(0)