2013年 02月 06日
来日が予定されているザーラ・イマーエワさんの「春になったら」を紹介しましょう

企画・製作:スタジオ「ハン・アーナ・ナフ」
2004年
この作品は、第2次チェチェン戦争のおぞましい体験と痛烈な平和への願いを描いた、チェチェン難民の子どもたちの絵をスキャナーで取り込み、その画像データをパソコンソフト「フラッシュ」により動画化したものである。
チェチェンの首都、グローズヌイは北コーカサス随一の、美しい町だった。そこには、ささやかだけど幸せな人びとの暮らしがあった。しかし、戦争が始まり、爆弾が降り注ぎ、恐ろしい殺し合いが始まった。身内の死に、人びとは悲しみ、戦火に追われて人びとは逃げまどう。地下壕に逃げ込んだ子どもは母親に聞く。「いつ戦争は、終わるの?」と。母親の答えは、「春になったら」。そこで子どもは、春になったら来るであろう平和な日々を夢見た。
チェチェンでは人口の実に1/4にあたる25万人が殺され、ほぼ同数が難民化した。子どもの犠牲者は4万人、加えて大量の子どもが孤児や、身障者になった作者は16歳の少年、ティムール・オズダミール。こんな作品が出来上がったのは、その背後に、母である「子どもの物語にあらず」を作った、女性ジャーナリスト、ザーラ・イマーエワがいるからだ。ティムールはこの作品完成に先立ち、母と共に人権団体アムネスティ・インターナショナルの招きで講演ため来日し、その縁で、新潟の有志の招きで再来日、2004年以来、新潟で暮らし、CG制作を学んでいる。
アニメという分野にもパーソナル・コンピュータの普及により、これまでの障壁がなくなり多くの人びとが参入できるようになった。それは何も日本だけではない。この作品が作られたのは、アゼルバイジャンであるが、南の隣国、イランでは意欲的な、絵本作家たちが、自らの絵をスキャンして、素晴らしい作品を作っている。こうした世界があることを、この作品を通じてご覧いただきたい。
http://didi.tv/
日本では、チェチェンの子どもたち日本委員会(JCCC=現在は準備会)
が、チェチェンの子どもたちへの医療支援、文化支援に取り組んでいる。
http://chechenchildren.jpn.org/