2013年 03月 29日
北上川流域は豊富で多様な生物相と豊かな水をたたえ、広い開放的な空間を形づくっている。
製作:東京シネマ 企画:日本ビクター
1998年 カラー 11分15秒
<コメント>
東北随一の大河、北上川は全長249キロを悠々と流れて一部は石巻湾に注ぎ、一部は河北町から東流して追波川となり、北上町で南三陸の追波湾に注ぐ。
この北上川流域は豊富で多様な生物相と豊かな水をたたえ、広い開放的な空間を形づくっている。
とくに河口から上流10キロまでの高水敷は、「ヨシ」の群落が広がる「ヨシ原」を形成し、川面を渡る風がヨシのすれ合う音を誘い、風の強弱に合わせていろいろな音色を醸し出し、水鳥の鳴き声とのハーモニーが何ともいえずすばらしい。
広大なヨシ原にはオオヨシキリ、コヨシキリ、カルガモ、オオバンなど、野鳥の宝庫だ。
毎年冬になると地元民による昔ながらのヨシ刈りが行われて風物詩になっている。
「津波に洗われ生育にかげり」と産経新聞は報じている(2011.7.17)
例年、12月中旬から3月にかけて行われる、背丈が4メートルにもなるヨシの刈り入れは、冬の風物詩として知られる。しかし、景勝地のヨシ原には今、刈り取りシーズン終盤に襲った東日本大震災による津波の深い爪痕が残る。被災当時の状態で放置されたままの橋脚、ひび割れて水浸しになった遊歩道など、痛々しい風景が目につく。下流域に甚大な被害をもたらした津波は、河口から49キロも北上川をさかのぼった。「ヨシ原への津波の影響は深刻」。北上のヨシ原を守る会の千葉五郎会長(66)は肩を落とす。例年4月、環境保全などを目的にヨシ原を燃やす「火入れ」は震災で中止を余儀なくされた。今の時期、高さ3メートルになるヨシが、今夏は1、2メートルにしか育っていない。ヨシの群生密度も例年の約5割にとどまっている・・・・・。