2013年 03月 30日
あえてこの作品「種子のの中の海 イチョウの精子と植物の生殖しんか」
制作:東京シネマ新社
35分 カラー
<作品概要>
イチョウは春、花粉を飛ばします。花粉が若いギンナンの内部に取り込まれると卵が作られ始めます。 それから約4ヶ月後、成長したギンナンの内部で卵は成熟します。花粉は花粉管を伸ばし、その中に精子を作ります。同じ頃、イチョウは種子(ギンナン)の中に精子が卵まで泳ぐ「海」を用意します。この「海」を泳いで精子は卵と受精します。
コケ植物・シダ植物などの原始的な陸上植物は精子を放出し、外界の水に泳がせて受精します。被子植物などの高等な植物は、雄しべから雌しべへ花粉を届けます。花粉は雌しべの水分と養分を利用して花粉管を卵まで伸ばし、直接精細胞を卵へ届けます。
この2つの生殖方法を進化的に繋ぐのが、1896(明治29)年に発見されたイチョウ精子(平瀬作五郎)であり、ソテツ精子(池野成一郎)でした。植物は生殖の瞬間はダイナミックに動きます。しかし、最もデリケートな時期でもあるので、生きている状態での観察は困難でした。近年、日本の植物研究は生きている状態での裸子植物の精子による受精と、被子植物の重複受精の観察・撮影を世界で初めて可能にしました。
この作品では原始的な植物から高等な植物までの、生きている状態での生殖の有様を、段階を追って一覧し、陸上植物が辿ってきた生殖方法の進化を考えます。