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久米さんの科学映像便り

4K映像アーカイブの可能性 について

近年「4K」という単語をニュースや新聞、広告などで目にするようになりました。4K映像や4K放送など、すっかり身近になりつつあるこの「4K」とは、いったいどのようなものでしょうか。

4Kとは「4K解像度」ともいい、横4,000×縦2,000前後の解像度に対応した映像に対する総称とされています。現在の主流であるフルハイビジョン(フルHD)の画素数は横1,920×縦1,080、合計207万3,600画素ですが、4Kの画素数は横3,840×縦2,160で合計829万4,400画素となり、フルHDの約4倍となります。(参照:http://www.macxdvd.com/blog/smart-what-is-4k.htm)

この4K、インターネットによる映像アーカイブである科学映像館には関係のない別の世界の話だろうと当初は考えていました。しかし今年の2月、当法人の映像デジタル化処理を一手に引き受けていただいている東京光音株式会社(http://www.koon.co.jp/)から「第2回4K報告会」の案内が届いたこともあり、さる3月10日に初台にある東京光音の営業所まで足を運んでみました。その内容をご報告するとともに、4K映像に対する当法人の今後の対応についても触れてみたいと思います。

今回の報告会は主に関係者のみを対象としたもので、3日間で合計9回開催され約100名が参加したとのことです。前半はパワーポイントを用いてこれまでの経緯や導入機種の性能、また映像データや今後の展望についての報告がありました。

東京光音による4Kへの取り組みはすでに5年前から行われており、4K映像用機材についても現行市販されている十数種類の機種から4種に絞り込み、約1年を掛けて提供された映像サンプルを検討した結果Lasergraphics社のScanStation Film Scannerを選定・導入したとのことです。映像アーカイブの世界でも5年以上前から話題にあがっていたことに驚きました。

映像処理の専門家ではないため、小生が理解した範囲で導入機材ついての説明を試みます。今回導入された機材は従来機種とは異なり4K解像度での復元が可能であること、また8mmおよび9.5mmから35mmまでのネガ・ポジを最大60fpsで高速処理できること。また2D optical pin-registration機能により、映像のブレが極めて少なくなること。さらに汚れや5.5%までのフィルム歪みも補正処理されるなど素晴らしい性能となっています。またスキャン中のフィルムへの傷害も極めて少ないとのことです。もちろん、一度4Kで処理された映像は4K、2K、1K、HD、SDなども映像としても取り出せます。

次いで、この機材で処理された映像の試写も行われましたが、これが本当に驚きの連続でした。昭和初期の9.5mmフィルム映像を処理したものでしたが、海岸の風景では岩の表面までもが鮮明に蘇り、機関車を映した8mm映像も実に鮮明な映像となって蘇りました。特にこの機関車の映像では、SDでは見ることができなかった機関手の挙動までが復元されておりびっくりしました。他にも16mmフィルムの映像では自然な街並みや美味しそうなランチも鮮明に映し出されていました。最新技術を駆使した映像処理機材の性能に驚くとともに、フィルムの持つ情報量、フィルムの素晴らしさも再認識した次第です。

もちろん、この機種による映像も、東京光音の20年に及ぶフィルム修復のノウハウは不可欠であり、その技術と相まってアナログ映像の映像アーカイブが確立することは間違いないことを実感しました。

この報告会で目にした映像の違いや今後の映像方式の潮流などをふまえて考えると、やはり貴重な映像が劣化してしまう前に4Kで映像を保管すべき(予算や映像内容の兼ね合いもあるが)と痛感した一日でした。

もちろん、これらの映像の二次使用については、いつも周辺環境の整備が間に合っておらず、直ぐに4K映像を活用できないのは残念ですが、今後これらの課題も解決し環境整備も進むものと確信しています。

4K映像の素晴らしさに接した現在、科学映像館としてはこの潮流にどのように対応すべきでしょうか。報告会後、東京光音の担当者と個別に話し合いをもった結果、まずは試験的にフィルムを4K処理して保管するとともに、HDまたはSD映像として配信してみる、との結論に達しました。処理データの保管、そして必要なコストの問題については相互に歩み寄り、解決されると思っています。
by rijityoo | 2016-03-20 16:59 | Comments(0)

今なぜ、科学映像館か? その舞台裏を語ります。