2007年 08月 27日
科学映像撮影の舞台裏、生物資料の提供
「The Bone」 ,「The Bone II」,「Osteocyte」、の生物試資料を
提供した。今回はその撮影の舞台裏に焦点を当てたお話。その第1回は
「The Bone 」についてであるが、この映画はある製薬会社の新薬発売を記念して企画されたもの。小林米作氏は単なる商業映画の制作ではなく、骨の生きた営みに迫る映画をと。
当時ガラス内での骨の形成はまだ報告もなく、勿論その映像もなかった時代であった。今日、耳にする再生医学の魁であった。そのため器官の分化を促し、維持でき、しかも観察に適した培養装置を留学先から持ち帰った筆者にお呼びがかかったのである。3部作制作の足掛け15年間の舞台裏を。
1978年11月の中旬、小林さん以下ヨネプロの数名のスタッフが、トラックいっぱいの機材と共に来学、早速設営に着手。しかし提供できる資料の目どは全くたたず、悪戦苦闘のうちに年末へと。 年が明けて、2つの方向が。スタッフは長骨発育の映像化。私たちは細胞レベルでの骨形成と。しかし両者とも中々の資料作りである。
今回は長骨発育の映像はいかにして撮影されたかを中心に。小林さんは新生児マウスの前足の指の発育に着目。固定のまま20日間生育させ、撮影することを企画。最初の1週間、まず注射器でのミルクの補給を考えたが、飼育は無理と判断。
ついで何日か毎に発育した同腹のマウスと交換、撮影へと。では固定と撮影は?体を固定したマウスの指を露出して硝子板にボンドで固定し、下方から照明。表面の乾燥を防ぐため、油を塗布しての2ヶ月にわたる撮影であった。軟骨モデルから軟骨の石灰化、血管の骨髄への進入、骨への置換と一連の発育動態の映像化が。この撮影は普通速度で行い、発育段階に沿い、積み重ねたものである。 次回は細胞レベルでの骨形成は?