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撮影後日談

 骨組織に取り組んだ今回の映画は、全く初めての課題であり、小林さん自身も大学に泊まり込んでの撮影。上記の様に、各々のカットはそれぞれの材料調整と観察法に工夫を重ねて撮影されたものである。頭蓋の血流に始まり、長骨の形成、細胞レベルでの形成と吸収。骨の生きた営みを見事に編集。生素材そのものに迫った映像が故、今回の映画には計り知れない情報が。26年後の今日でも、科学映像館で配信32編のSD化作品中、生命誕生に次ぐ高い視聴回数と視聴時間があり、関心の深さが。いまだに本映画が現役であることを物語っている。

 長期間の撮影には、予期せぬハプンニングも。その間、米作さんとは幅広い話し合いが。映画の制作論、教育論などなど。その中に米作さんの健康管理への話題にも及ぶ。夜、走ることもの返答に、そこで小生も。ところが11日目の夜、河原で見事に転倒し、右ひじの骨折で5ヶ月のギブス生活。骨分野への研究は、遅まきながら奇しくも骨折と映画の制作でのデビュウへと。またスタッフと研究室の補助者とのロマンもあり、The Boneは思いで深い作品となった。

撮影後日談_b0115553_1094490.jpg 新薬について全く触れていない今回の作品は、企画した
製薬会社には必ずしも歓迎されなかったと聞く。板ばさみとなった担当者の苦労は痛いほど感じられた。しかし、この映画の国内外での学術的評化は予想以上に高く、とくに海外では。イギリス、シェフィールドのカニス博士にこの映画を観て貰う機会があり、2日後に開催される欧州の骨代謝学会で上映しないかとの急遽の要請。しかし、帰国後の予定もあり、映画を託して帰国。その学会では世界各国の出席者から、絶賛されたと聞く。海外での予期せぬ評化が第2作、The Bone IIの企画へとも。またThe Boneの帝人は、活性型
ビタミンDの製造、販売会社と海外の骨関係者に強い印象を。よくある逆輸入の話。

 NHKを初めとする国内外メデイアでこの映画を使用。また教材としても。大阪大学医学部を始め、国内外の大学から使用希望願いが相次いだと聞く。本年春にも東京大学教養学部からの購入希望が。各企業は費用対効果のみでなく、中身の濃い後世に残る映像の制作、そして過去の名作を保存し、活用することにもっと目を向けてもらえればと。社会への還元、よい意味の道楽も。
by rijityoo | 2007-09-03 09:29 | Comments(0)