2007年 12月 19日
ドキュメンタリ映画って誰のもの
さて版権とか影像権は別にして、1950年代から世界に冠たる科学映画が制作され、映画界のみならず、研究、教育界にも多大の貢献をしてきたことは、誰しも認めるところ。ところが、撮影のフォーマットの進化、経済環境の変化などによって以前のようにじっくりと、金と時間をかけ、科学映画を制作できる環境は失われつつあるのも事実であり、残念。
新しい作品が制作されないばかりか、過去の名作もどこかに埋もれつつある。しかも他の芸術作品と異なり、フィルム、テープも保管は極めて厳しい。そこで何とかしようと立ち上げたのが科学映像館である。フィルムを高画質でデジタル化し、インターネットで配信。誰でもが、いつでも、何処でも観ることができ、活用していただき、未来遺産にしたいと4月に発足、今日にいたっている。
ヨネ・プロダクシォン、東京シネマ、東京シネマ新社が主にフィルムの提供。東京光音が超プロフフェシオナルな技術と誠意をもってデジタル化。みの電子産業は誠意と敏速に配信作業を。また経済面では、当NPOを支える会会員、協賛者、協力企業などのご理解とご支援で予想以上に活動は、進行していると思う。ご協力いただいた方々に感謝があるのみである。
7月から、上記の3社以外のご協力を得、幅広く多彩な映画を配信したいとの準備を開始。資料館、博物館を所有している約20社と各地に存在する公共の自然博物館に映画配信を呼びかける。学芸員などを配置し、映画を大切に保管しようと努力し、私たちの活動に共鳴を示される会社のあることも。その時の感動が私たちの毎日の支えに。現在、2博物館と1制作会社の協力が得られ、新たな作品の配信を開始。さらに他の2社が好意的な対応を。近々、分野の異なった作品の提供を期待している。しかし根気の毎日である。2,3ヶ月の交渉は常に覚悟。、時には2,3年も。
ここでの問題が、版権である。版権は制作者の権利。しかし権利にはフィルムを保管する義務もあり、責任もあると思うが如何?関係者との交渉中、いやなことを耳にすることも。発注者に納品すれば終わりとか、古いフィルムは保管していないないとか。自社作品の存在すら確認していない企画会社も。ところが配信の申し入れには、必ず版権を理由にノーの回答。それぞれぞれの事情もあり、先方を理解できることもあるが、うんざりすることも。
版権の切れた映画、また販売されない映画も多いときく。所有権があるとか、会社の財産だとかいつまでも言わないで、社会還元し、貴重な映像遺産とすることが、素直では。インターネット配信では、版権はほぼ保護されると聞く。また、画面の片隅にマーキングすれば、先ず盗用は不可能。とすれば配信は宣伝にもなること間違いない。是非私たちの活動にご協力を。