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科学映画の日本史と題する修士論が修士卒業生から

 

  昨日、東京大学修士課程卒業生から、科学映画の日本史と題する論文が贈られてきた。彼女の専攻は、文化 情報学コース。150ページを越える内容豊かな大作である。皆さんにお見せ出来ないのは残念。

  そもそも彼女がこの分野に足を踏み入れた切っ掛けは、小学生時代、NHKの科学番組、カエルの発生や植物の微速度撮影による映像を観たことに端を発しているらしい。風邪などで学校を休み、これらの番組が見られたのは、彼女にとっては大変幸せであったと記している。チャネルが増えたにも拘わらず、じっくりと取り組んだ番組が少なく、このような科学番組を子供達が観る機会が少ないのは、極めて残念である。理科離れも致し方ないのかも。

  彼女は、大学では農学部で腸内細菌、とくに乳酸菌の研究を。しかし彼女は研究自身より、この生物の神秘と謎を多くの人に伝えたい、、知ってもらいたいと。その後、最近の科学映画祭をのぞいてみたが、テレビなどですでに見たものが多く、これぞと感動させる映画は見当ず、不満の日々を過ごしていた。

  ある日、ゆふいん文化科学映画祭の開催を。そこで上映された樋口監督の真性粘菌の生活史を観て科学映画の面白さを。わかったことをわかりやすくことより、わからないものをどうするか?が彼の映画制作の基本であったと。同様のことは、小林さんの映画制作姿勢であったとおもう。

  当日、樋口さんと3年間一緒に撮影した石井薫久氏がこの映画には、ナレイシオンは無用であり、映像が全て語るとのこと。実は小林米作さんもナレイシオンも音楽も時により邪魔であると。それぞれの感性で映像を鑑賞して欲しいと。この映画祭に参加して、彼女は修士の学位論文のテーマに科学映画の日本史を選んだだようである。

  資料的な解析ばかりでなく、上映会の企画、科学特捜隊を作り自分達で科学映画を掘り起こし、また現存の映画制作者とインタービュウーを重ねながら、科学映画制作の現状と問題点を掘り下げ、さらに今後への提言を。とにかく埋もれ、劣化しつつある科学映画をなんとかしないと結んでいる。

  科学映像館の活動とも相通じるものであり、今後の活動に似期待したい。幸い名古屋の新聞社に入社、この面に関する仕事を発展させたいとのこと。大いに歓迎である。そしてこの論文を何らかの形で世に出して欲しいと願う。 
by rijityoo | 2008-03-28 14:03 | Comments(0)