2008年 04月 06日
医歯系の博士には問題が?
先日来、2,3の国立大学医学部で、学位取得後のお礼の問題が新聞に。関係者には氷山の一角であることもお分かりと思う。昨日でしたが、在京のある私立医科大学の先生が、読売新聞の論壇にご意見を。筆者も国立大学歯学部の大学院を終了、留学帰国後、私立歯科大学に数年前まで在籍。以上の諸点を踏まえて学位制度についての私見を。
医師系大学における大学院および学位制度には、大きな問題点があることはご承知の通り。そもそも論にのみ話をとどめたいが、昭和35年旧学位制度を切り替え、医学部、歯学部に4年制の大学院が、消化不良か、日本にマッチしたと言うべきか、アメリカの大学院制度を導入。日本と異なり、アメリカでは学部と大学院は完全に独立した別の組織である。医学とか歯学部の大学院は、存在しない。日本では大学と大学院が同一学部内に存在、教員も両者を兼任していることが多い。
学位の審査制度にも問題が。指導教授が主査を務め(?)、2,3の先生を加えて副審とし論文の審査を。一部の医科大学では、主査は他の講座の先生が勤める。アメリカでは論文内容に相応しい先生を他大学に、時には外国の大学の先生まで。したがってアメリカへ留学時、日本の大学で取得した学位を認めてくれないことも。
また最近定員を満たさないからと、社会人大学院制度(?)を導入、開業歯科医が夜間大学で研究をと体裁を整える大学もあるとか。会社から研究医員が、大学に派遣され研究するのであれば、理解できるが。毎日研究に励んでも、最近の研究内容は高度であり、厳しいものである。
またアメリカでは大学院は、基礎的研究成果に対する資格(PhD)であり、臨床学科には学位はないようである。。臨床医としての資格はMD、いわゆる臨床医師、DDS、歯科医師。ところが日本ではMDにPhDを積み重ね、制度上もまた一般的にも医学博士が格が上であるがごとくに。教授資格には学位が不可欠とか、給与も2号俸上乗せとか。これらの点から諸問題が。臨床医には専門医制度が相応しいのではと常に思っている。
また基礎部門でも学位を取得しているから、立派な研究者とは限らない。学位はあくまでも研究者の出発点。審査も各大学で色々。これで博士論文がと思われるものが多々あり、確か年間、1万以上の博士さんが誕生。足の裏の米粒と揶揄されたことも(?)。10年くらい前、大学院制度が論議された時、分野別の名称をなくしたPhDのみの話しも上がったが、最終的には、歯学博士ではなく、博士《歯学)に落ち着いた模様。学部により学位にレベルの差のありすぎることを示唆している。
要は本人が学位に値する内容の研究を行い、好みの分野、大学院に論文を提出、審査を受けること。そして学位は研究の出発点であることの自覚が肝要か。まじめな方からは、お叱りを受けるかもしれないが、筆者は他大学出身者の教室員に学位の取得に勢力を使うのではなく、
後々まで残るような研究をしようではと。