人気ブログランキング |
久米さんの科学映像便り
rijityoo.exblog.jp
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
カテゴリ
ブログジャンル
ランキング参加してます♪
記事ランキング
最新の記事
以前の記事
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
プロフィール
科学映像館理事長の久米さん。映像遺産を守り、生かすための日々!
ファン
画像一覧
2012年 08月 28日 ( 1 )
カテプシンk物語り~アンテイセンスの結果~
石橋先生から第5号が届きました。

震災直後の混乱も一段落しつつあった1995年4月、私は宝塚の研究所に戻りました。これまでの分子生物学・生化学的研究から、ヒトカテプシンKが骨代謝において重要なプロテアーゼであることが強く示唆されたため、プロジェクトも様々なバックグラウンドを持つ新たなメンバーを加え、次第に拡大していきました。

まず、ヒトカテプシンKの阻害剤を開発するにあたり、候補化合物を正しくスクリーニングするための評価系を確立することが重要です。幸い、当時優れたin vitro骨吸収評価系として、久米川先生が象牙を用いたピットアッセイを確立されていましたので、我々はこの系に多少の改変を加えて導入することにしました。具体的には、高性能共焦点レーザー顕微鏡を導入し、ピットの深さや体積も定量的に測定する系を確立しました。そして、この「改良版ピットアッセイ」の確立において中心的役割を果たしたのが、現在私と同じグループで研究を行っている、乾 隆・大阪府立大学教授です。(乾先生と私は、カテプシンKを通じて意気投合し、その後アカデミアで互いに独自の研究を展開していきましたが、本年4月より再び一緒に研究ができることになりました。)

こうして骨吸収評価系はほぼ確立しましたが、まずは、プロジェクトを進行する上での大前提である「カテプシンK活性を阻害することにより骨吸収が抑制される」という仮説をきちんと証明する必要がありました。当時はまだsiRNAなど存在せず、アンチセンスオリゴDNA(AS-ODN)を用いたカテプシンK翻訳抑制の影響を検討しました。その結果、カテプシンKに対するAS-ODNは濃度依存的にピット形成を抑制すること、そしてその抑制効果は、他のカテプシンも同様に阻害するE-64(システインプロテアーゼ全般に対する阻害剤)のそれとほぼ同等であることが示されました。
b0115553_1624181.jpg

実は、それ以前から、カテプシンBやLなどに対する選択的阻害剤を用いた研究は行われており、当時はその結果に基づき、主にカテプシンLが破骨細胞による骨基質分解を担うと考えられていました。しかし、我々の結果は、実際はカテプシンKこそが骨吸収の中心的な担い手であり、他のカテプシンの寄与は極めて小さいことを明らかにしたことになります。このことは、私が行った各カテプシンmRNAの絶対定量解析の結果、すなわち、ヒト破骨細胞においてカテプシンKは他のカテプシンに比して圧倒的に優位に発現する、という結果からも裏付けられました。それまでの「カテプシンL説」は、用いた阻害剤が構造的に類似しているカテプシンKの活性を阻害したために誤って導き出された結果であったと推察され、実際に我々はそのことを酵素アッセイにより明らかにしました。

ピットの体積を計れることにより、ピットアッセイ方法は破骨細胞の骨吸収作用を詳細に評価できる素晴らしい評価系となりました。

走査型電子顕微鏡では、コラーゲン線維が不消化でピットの中に残存していました。今回の結果から、カテプシンKの骨破壊作用を一段と明らかになりました。


参考文献
1.Ishibashi, O., Inui, T., Mori, Y., Kurokawa, T., Kokubo, T., Kumegawa, M.: Quantification of the expression levels of lysosomal cysteine proteinases in purified human osteoclastic cells by competitive RT-PCR. Calcified Tissue International, 68; 109-116, 2001.
2.Inui, T., Ishibashi, O., Inaoka, T., Origane, Y., Kumegawa, M., Kokubo, T., Yamamura, T.: Cathepsin K antisense oligodeoxynucleotide inhibits osteoclastic bone resorption. Journal of Biological Chemistry, 272, 8109-8112, 1997.

by rijityoo | 2012-08-28 16:16 | カテプシンK物語(23) | Comments(0)